＜体験談B-32 頚椎後縦靭帯骨化症の手術体験談＞に対する感想

今回、私が行った手術は約２０年前に釧路労災病院に赴任してから開発したＷｉｌｌｉａｍｓ−Ｉｓｕ法による頚椎前方除圧固定術です。手術法として は確立した手術法でありますが、術後経過が良くてほっとしました。体験談で、私のことを神の手を持ったスーパードクターと表現していたため、先日、患者さんが外来を受診した時、スーパードクターとか神の手と呼ばないでほしいとお願いしました。私は普通の脳神経外科医であり、コツコツと長年にわたり手術成績を向上するために手術法を改良してきただけで、神の手を持つ脳神経外科医ではありませんと言いました。神は努力をしなくてもすべてを治せます。私は病気を治すことを約束することは出来ませんが、プロのプライドにかけて最後まであきらめず、治療することを約束することは出来ますと伝え、納得してもらえました。スーパードクターとか神の手を持つ外科医とか言って外科医を称賛するテレビ番組や新聞、雑誌は真実を伝えていません。そんな立派な外科医がいるのであれば、すべての病気は治ります。嘘をついてはいけません。そんなに甘いものではありません。私の考えでは、真実を伝えない報道は辞めるべきです。真実を伝えないと、多くの患者さんが犠牲になります。私は、本当のことを伝え、手術を行っています。再度、言いますが、手術はそれほど甘いものではありません(長年、手術を行ってきた私が言うのですから本当です)。スーパードクターとか神の手を持つ外科医と言われて、舞い上がっている外科医も外科医ですが、そのような外科医を求めるあるいは信じる患者さんにも責任があります。外科医は普通の人間です。神ではないので、うまくいかないこともあります。