脊椎脊髄疾患　pro

　　
１）２週間前から上肢のしびれがあり、手術適応があるかどうかを聞きたくて受診

頚部痛、上肢のしびれを主訴に６０歳代、女性が受診。　他院で手術と言われたが手術適応があるかどうか聞きたくて当科を受診。上肢のしびれは軽く、不自由はしていないとのこと。そのような症状で、まじめに手術適応があるかどうか聞いてくる患者さんがいるとは信じられません。当然、手術適応はないため、様子を見ることにしました。納得がいかない様子でした。

２）ＭＲＩではすべての診断は不可能である

　４０歳代、男性が右上肢C7領域のしびれ、痛みを主訴に来院。ＭＲＩでは、C6／7レベルで軽度の脊髄圧迫。ＭＲＩでは神経根の圧迫の所見は明かではない。ＭＲＩがもっとも不得意とする部位と説明。ＭＲＩは本道り(脊髄圧迫)の診断は得意であるが、わき道（神経根）の診断は不得意と説明するも、なかなか理解しがたいようだ。ＭＲＩで全てがわかると思っている様だ。

３）本当に私に手術をしてもらいたいかどうかを確認すべきです

　３０歳代、女性が腰痛、下肢痛を主訴に受診。他院整形外科より手術の依頼があり。本人、手術を希望(友人の紹介であり本人が当科を強く希望した)。手術はむずかしく、家族の同意が必要と話すと、紹介してくれた先生は簡単な手術だと言っていた。それほど難しい手術なのですかと。また、両親は入院中、兄弟は全員、本州におり、たまたま、弟さんが釧路に今週中までいるので、それまでであれば良いと。手術は来月中旬以降であり、家族の同意がなければ手術できないとＩＣした。手術をすぐにしてほしいとの希望だったため、他科を紹介。すぐに、お願いしますと。最初は、友人の紹介でぜひ、先生に手術をしてほしいと言っていたのに。本人の話しをすぐに信用しては駄目です。ゆっくり、じっくり確認する必要があります。本当に、私の手術を希望する方は、あらゆる手段を使って手術をしてもらう工作をします。それほど、大変な手術と思っていないのです。トラブルの最大の原因です。危険を回避出来て良かったです。

４）本当のことを言われてどうして不快になるのでしょうか

４０歳代、女性が腰痛、下肢痛を主訴に受診。 4年前、当院整形外科を経由して当科を受診した。腰椎椎間板ヘルニアと診断された。治療により痛みが一時、改善したが再度、悪化。会社の同僚の妻の紹介。以前、当科で手術が必要と言われたと言う。私は手術を勧めない立場であるため、手術が必要であると言っていないと言ったが、納得せず。先生は私に手術が必要であると言ったと不快な様子を見せる。セカンドオピニオン、神経ブロックの話しをすると神経ブロックを希望。感染の可能性があるかも知れないと言うとまた不快な様子。麻酔科を紹介した。当日、麻酔科を受診したが、後日、他の病院を受診。私の説明が悪かったのでしょうか。

５）他の医師が手術した患者さんの再手術はしないほうが良いです

６０歳代、女性が腰痛、下肢痛を主訴に受診。診断は腰部脊柱管狭窄症並びに右梨状筋症候群。以前、他科で手術施行したが、症状が改善しないため当科での手術を希望して受診。大学病院の整形外科、初回手術した先生を薦めたが、どうしても当科で手術をしてほしいと。すべてを任せますのでお願いしますと懇願された。術後、少し良かったが、腰痛、下肢痛が再び悪化（術前よりは良い）。ＭＲＩでは腰椎に異常が見られなかったため、右梨状筋症候群を疑い、筋ブロック施行。1-２日改善したのみ。再ブロックをＩＣしたが、その後、当科を受診せず。札幌近郊の有名病院を受診。あれほど、先生しかいないと言っていたのに。信用してはだめ。そのような患者さんには、セカンドオピニオンを義務化すべきと思う。幸い、術後、症状が悪化しなかったから良かったが。悪くなっていたら大変でした。

６）腰のＭＲＩをとつてもすべての腰痛の原因がわかりません

　５０歳代、男性が腰痛を主訴に来院。ＭＲＩ上異常なしとＩＣ。　　　異常なしとは病気がないことと思ったと。腰のＭＲＩでは内臓の異常はわからないとＩＣ。スポットを当てて検査しているので、一度の検査で体の全てがわからないとＩＣ。患者さんはＭＲＩで内臓を含め、すべてわかると思っていたと。今回は腰の神経系には異常が見られないだけ。腰痛の原因が全てはわからないと説明。痛みがあるのでどこかの異常です。ただ、腰のＭＲＩでわからない腰痛と説明。しぶしぶ了解。

７）ＭＲＩとらなければ診断がつかないと思っている患者さんがいます

６０歳代、男性（漁師）が下肢痛を主訴に受診。　　　
数十ｍ歩くと下肢の痛みが強くなり、休むと痛みは著明に改善。腰まげて歩くと楽であり、腰部脊柱管狭窄症の典型的症状である。パンフレット渡し病気の説明をしたが、ＭＲＩを本日施行してくれと懇願してくる。ＭＲＩ施行しないと診断がつかないと思っている。いくら説明しても理解してくれない。本日、臨時でＭＲＩ申し込む。説明は2日後。

８）家族の同意が必要だと説明したことが悪かったのでしょうか

３０歳代の男性が腰痛、下肢痛を主訴に受診。他院で腰椎椎間板ヘルニアと診断され、私に手術をしてもらいたくて受診した。手術に際しては本人のみならず家族の同意が必要と説明したところ、急に、妻が怒りだし、夫の姉は遠方であり、来れないと。兄弟を呼びつけるなんて非常に失礼である趣旨の発言を繰り返し、診察室から出ていきました。私の言い方が悪かったのかもしれませんが、怒る話ではないと思います。手術後、不都合な結果になりますと、説明を聞きに来ていない家族の方が、そんな話を聞いていないと怒りだす人がいるため、私は出来るだけ家族の同意をとろうとしています。手術後に怒られるより、手術前に怒られる方が良いと思います。